派遣歴○十年の私のハケンの感想など
数年前に「ハケンの品格」というドラマが話題になったことがありました。
主演の篠原涼子さん演じる春子が特Aクラスのスーパー派遣社員としてさまざまな仕事をこなしていく物語なんですが、見ていて違和感を感じたのが「あまりに優秀すぎること」でした。
世の中の「派遣社員」に求めるスキルがそれなのかなあなどと思ったこともありますが、実際はそこまで堅苦しい世界ではないし、派遣社員とはいえただのいち労働者であって、はじめての仕事はだれだって失敗もありそれを乗り越えて成長していくしか無いんですよね。
ある意味このドラマは「ハケンで働くこと」へのハードルを上げてしまったんじゃないかと実は思ったりもしました。
最初の派遣は一日3時間のデータ入力
さて、私のはじめての派遣でのお仕事は確かデータ入力でした。
しかも労働時間は1日たったの3時間のみ。
某・大手派遣会社からの紹介だったんですが、最寄りの駅に派遣先のバスが迎えに来てくれるという超大手有名企業でのお仕事で、独自のシステムに顧客情報をひたすら入力するという業務だったので、極端な話オフィス系のワードやエクセルの技術は必要無かったんですよね。
もちろんデータ入力なのでタイピングスピードは求められますが、それは派遣紹介の必須技術では無かったし、遅い人はそれなりの件数しか入力出来ませんがそれでまったく問題がなくスピードが早い人が損をするというだけでした(笑)
時給は確か1,100円くらいだったでしょうか。割と楽な良案件でしたが頭を使わない仕事が苦手なので3ヶ月くらいで辞めた記憶があります。
大手メーカーでの補助業務から技術者へ
ちなみに私が派遣社員に登録したのは結婚が理由でした。
結婚を機に引っ越しをするため、勤めていた会社を辞めてのんびり主婦をしながら楽しく暮らそうなどと気軽に考えてしまいましたが、いざ辞めてみると仕事をしない生活が苦痛になってしまったんです。
ただ、じき子供も出来るだろうことを考えると改めて中途社員で働くのは企業に迷惑がかかると思い(いまとなってはこの遠慮は必要無かったと思いますが)派遣会社への登録を決意しました。
そして、データ入力の仕事から今度は家から比較的近く通いやすい大手メーカーでのPC補助業務を紹介されて働くことになったんですが、私の人生に於いてこの経験が最も有意義な時間になるのでした。
まず任されたPC補助業務は、エクセルを使ったデータ入力や資料作成のみだったんですが、私が比較的PCソフトに強いということが解ると文字入力からadobeのイラストレーターによる画像作成、挙げ句はそのメーカーで販売されてる主力商品の製造工場の機械設計をするCADオペレーターにまで成長していました。
おかげで趣味で遊び程度しか出来なかったイラストレーターの操作はかなり上達し、数あるCADのの中でもかなり上位に位置するソフトも使えるようになったのです。
当然、その労働とスキルに値する賃金の引き上げも要求して承認されましたし、会社の居心地も良かったので結局4年ほどお世話になりました。
こんなふうに、いま出来ることで雇われた後に新しいスキルを獲得できるのも派遣社員の大きなメリットだと思うんですよね。もちろん社員でもそれは同じですが、それが大手で習得出来るのは非常に大きく、そこでの業務経験は自分の肩書になって後々大きな糧となりました。
これは私が学んだ派遣の得する働き方です。
異色の業態へ派遣するも、最終的には契約社員へ
その後、メーカー勤務を自己都合で終了し、しばらくのブランクの後またあらたに派遣紹介を受けたました。今までご縁のなかった珍しい業態への就業でした。
当初は前回習得した設計業務の延長で簡単な図面作成で紹介を受けたのですが、思わぬところで実務経験のない仕事に携わることになったんです。それが出来たのもブランクの間に通ったセミナーでの学習があったおかげでした。
私が登録していた派遣会社ではオフィスソフトの講習会に無料で参加することが出来たので、以前から興味があったマイクロソフトAccessの入門編を受講し、その後参考書を購入して一通りの仕組みをつくれるところまでマスターしていました。
その際に大変勉強になった本がこちら
オフィスソフトやイラストレーターも独学なんですが、私の経験上、参考書を購入するポイントはなにかひとつ作り上げることで学ぶスタイルの本が合っていると思っていて、この本は確か企業のデータを実際の業務に活用するところまでをアクセスで作り込む内容になっていて、基礎的なアクセスの知識がある人にはとても勉強になる一冊なのです。その後もアクセスを勉強したい人には超絶お薦め!と布教活動したほど(笑)
これをかじっていたおかげで、図面の作成で派遣された先の情報システムを担当する社員さんと仲良くなり、最終的には会社のデータ活用を一緒に考えるメンバーになってしまうというこれまたイレギュラーな業務のシフトを経験。
データをうまく活用することで仕事が面白いように短時間で処理出来るようになる、という経験は非常にやり甲斐があり感謝もされるので、これを生業にしても良いかもしれないとすら思った時期もありました。
こうしてまた最初に契約した業務外の業務も増えてきたので、一度派遣契約期間満了を終えたのち、直属の上司からお声がけいただいて個人契約の契約社員として働くことになりました。
パートナーの転勤による引越にも強い派遣社員
派遣は個人が会社に合わせるのではなく、スキルに仕事を合わせるところなので、どこでも仕事にありつけるという点が最大の利点です。
数年前、夫の転職で地方に引っ越すことになり私も仕事を辞めましたが、新しい地でも大手派遣会社であれば、そのまま新たな地での仕事を紹介してもらうことが出来ます。
ただし、支店が変わるので担当営業さんは変わってしまいますけどね。
今は労働人口も減少して、労働力が必要な世の中になっているので(もちろん正社員のほうが社会的保証は充実しているのでしょうが)派遣社員の需要が先細ることは無いのかなと考えています。
ただ、その中でも勝ち残っていくには自分の価値を上げていくことが重要で、スキルアップは常にしていないとあっという間に置いていかれるます。また、企業は安い単価で雇いたいので、スキルが上がればあがるほどその価格と自己スキルとのギャップに苦しめられる時が来るかもしれませんね。
そのタイミングがやってきたときに、いかにスキルを確立させておくかはとても重要で、いずれはそのスキルを生かして個で勝負すれば良いのです。
そのためにも、良い経験と良い人脈形成のために派遣を利用するというのは多いに「アリ」だと思っています。